ディヌ・リパッティ ブザンソン告別演奏会ライヴ
ある曲には「この演奏でなきゃ!」というのがある。
J.S.バッハ パルティータ1番
モーツァルト ピアノソナタ a-moll KV310
この2つについては(私の場合)リパッティだ。
33歳の若さで白血病で夭逝した天才ピアニスト。
10数年前、この2曲が入ったCDを尊敬していたピアノの友人からプレゼントされた。
パルティータの前奏曲の出だしの美しいこと。そしてイ短調のソナタの、まさに小林秀雄ばりの「疾走する悲しみ」。
モノラル録音のそのCDを私は食い入るように聴いた。以来、リパッティは最も大切なピアニストの一人になった。
彼の最後の演奏会の録音のことは知っていて、それでもなんとなく聴かずにきた。聴くと悲しくなると思って聴かなかったのだ、多分。
今日、あることがきっかけでこのCDを聴いている。
スタジオ録音に比べると演奏上の傷は多い。瀕死の状態で弾いているのだから当然だろう。
でも、リパッティの高雅で透明感のある演奏は健在だ。透明感のあるベヒシュタインで弾かれているためか、余計に純度が増したようで心を打たれる。何が、歩くこともままならないほど衰弱した彼を突き動かしているのだろうと思わずにはいられない。
やっぱり悲しくなった。
真に美しいものはほんの少し、悲しい。
【収録曲】
1.拍手
2.パルティータ第1番変ロ長調BWV.825(J.S.バッハ)
3.ピアノ・ソナタ第8番イ短調K.310(モーツァルト)
4.即興曲第3番変ト長調D.899-3 (シューベルト)
5.即興曲第2番変ホ長調D.899-2(シューベルト)
6.ワルツ第5番変イ長調作品42
7.ワルツ第6番変ニ長調作品64-1「小犬」
8.ワルツ第9番変イ長調作品69-1「別れ」
9.ワルツ第7番嬰ハ短調作品64-2
10.ワルツ第11番変ト長調作品70-1
11.ワルツ第10番ロ短調作品69-2
12.ワルツ第14番ホ短調(遺作)
13.ワルツ第3番イ短調作品34-2「華麗なる円舞曲」
14.ワルツ第4番ヘ長調作品34-3「華麗なる円舞曲」
15.ワルツ第12番ヘ短調作品70-2
16.ワルツ第13番変ニ長調作品70-3
17.ワルツ第8番変イ長調作品64-3
18.ワルツ第1番変ホ長調作品18「華麗なる大円舞曲」(以上ショパン)
【演奏】ディヌ・リパッティ(P)
【録音】1950年9月
EMIクラシックス TOCE-59180






