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2007年12月22日

2007.12.22 ドイツのクリスマス


もう12月も半ばを過ぎ、クリスマス、年末が近づいてきました。日本でもいたるところでイルミネーションが輝き、かじかんだ心が浮き立つようです。ちょっと烏山ショール-ムの話からはずれるのですが、ドイツで生活していた時に考えたことを少し書いてみようと思いました。

ドイツ語で「クリスマス」は、Weihnachaten(ヴァイナハテン)といって「神聖な夜」という意味です。クリスマスというのは「キリストのミサ」という意味なので、ちょっとニュアンスが違う気がします。ドイツは古代ゲルマンの風習などを取り込んでいるので、少し違ったクリスマスということなのでしょうか。
私はドイツ(ゾーリンゲン)に二年ちょっと住んでいたのですが、この時期は近くの町のクリスマス市に毎週末行っていました。有名どころはニュルンベルクやドレスデンですが、近くのケルンやデュッセルドルフもなかなか立派なものでした。無宗教な私はまあこれといってすることもないのですが、グリューワイン(ハーブなどをいれた温かいワイン)を飲みつつ店をひやかしました。

クリスマス前の4週間をAdvent(アドヴェント:「到来」というような意味なのですが)といい、毎週ローソクを一本ずつ増やして灯していきます。このローソクを増やしていく行為が、ドイツ人にとってとてもうきうきする行為なのだそうです。クリスマス商戦はどこも同じで、プレゼントを買い求める人でごった返します。そしてクライマックスの24日、25日はほとんどの店が休みで街はシーンとしてしまいます。みんな自分の所属する教会のミサに参列します。こういう日に旅行に出かけると悲惨な目に遭います。私も同僚とクサンテン(Xanten)といういかにもキリスト教という感じの街へ行ってみたのですが、寒い上に町がシーンとしているのでさらに寒く感じました。こういう日は自分がキリスト教徒でないことが残念になります。

ドイツで働く際には就労ビザを取得するのですが、届出用紙には自分の宗教を記入する欄がありました。ドイツは政治と宗教がかなり密接に関係しており、カトリックの人だと教会税というものを納めるようです。これがけっこうな額のようで、払わない人も多く、教会は税金を納めてもらうよういろいろ考えて必死になっています。しかし税金を払わないとお墓に入れないということなので、そろそろという人はきちんと納めるようになるのだそうです。

さてピアノの話ですが、この時期は楽器店も稼ぎ時で出荷も多くなります。私が働いていたのがピアノの卸会社でしたので、12月前の時期が最も忙しかったです。特にバイエルン地方は敬虔なカトリックが多く、早々に運送業者も休暇に入るので納期がきつかった記憶があります。憂鬱な11月(日がだんだんと短くなっていく月なので)をなんとかしのいで、12月のクリスマスを家族と過ごし、そして新年を迎える。ドイツ人にとって12月は長い冬の最大のイベントだと思います。
新年は日本と違って2日からほとんどの会社は始まります。
それはまたの回に書きたいと思います。

2007年12月07日

2007.12.07 ポーランド音楽界の重鎮を迎えて


ショールームの年末は名伯楽たちのレッスンが相次いで行われています。
先日のブロンズ教授につづいて、グダニスク音楽院教授のイェジー・スリコフスキー氏が公開レッスンを行いました。K・ツィメルマンもコンクール前に師事し、数多くのピアニストを育てていらっしゃるようです。

レッスンの合間にお話を聞かせていただいたところ、今回使った1930年製のプレイエル・モデルFについて非常に満足をしているとのこと。また「ハンマーの形状をもう少し変えると倍音の出かたが変わるのでやってみては?」と提案もしてくださいました。普段は試弾などで使用されているので、時間がある時に整形して聴いてみようと思いました。

モデルFはアクションが現在のものとはかなり違うので、調整は試行錯誤という感じです。当時のアクションは、あまり細かい調整はむつかしいということも聞いています。タッチは個人で好みが違うので、万能な調整というものはそもそもないのでしょうが、まずは自分が納得いくタッチを作りたいです。それでピアニストに意見をうかがい、また考えては調整をする、その繰り返しでしょう。

古いピアノの話になったところでスリコフスキー氏のピアノの話になりました。氏は自宅に1929年製のスタインウェイや1910年製のベヒシュタインをお持ちだそうで、その後者ハンマーは驚くことに当時のオリジナルであるとのことでした。一度ファイリング(ハンマーフェルトを剥き、音を整える作業)をしただけで、まだまだよい音を出してくれるそうです。
ベヒシュタインは前の持ち主がほとんど弾かずにいたもので、響板なども全く修理の必要がなく、アクションと鍵盤の接合部分を少し改良したくらいとのこと。ぜひ今のピアノと弾きくらべをしてみたいものです。

先月のイヴ・アンリ氏、先日のブロンズ氏に続き、スリコフスキー氏もベヒシュタインを個人でお持ちというのはうれしいことです。ベヒシュタイン、スタインウェイ、ベーゼンドルファー、プレイエル、ザウターなど。いろいろなピアノを弾くことでその違いと良し悪しがわかってくると思います。
「違いがわかる男たち」というのはやはりかっこいいです。

2007年12月04日

2007.12.04 バッハの権威


12/2()日にヴィレム・ブロンズ氏が、ショールームにて非公開でレッスンをされました。
オランダのアムステルダム音楽院の教授で、バッハ演奏の権威とのこと。平均律クラヴィア曲集を前日に演奏されています。毎年来日され、マスターコースを開いていらっしゃるようです。

ご自身がベヒシュタインをお持ちで、また音楽院での指導にも使用されているということで、急きょ当初予定していたピアノをベヒシュタインに変更しました。
レッスン後、教授にベヒシュタインの魅力などお聞きしました。まずは音が非常にクリアーであるということ。一台一台違いはもちろんあるのだが、クリアーであるということが他のメーカーのピアノと比べた時に顕著である、とおっしゃっていました。「クリアーで音が濁らない」ベヒシュタインのよさを最大限に引き出せるような調整、調律に技術者は努めていかねばならないと思います。

使用したピアノに関しては、非常に満足いったご様子でした。しかし本日初めて弾くにもかかわらず、ベスト・フレンドと言い切れるのはさすがだと思いました。これまでの経験の豊富さが言うのを可能にするのでしょうか。
ピアニストは例外はありますが、自分の楽器を持ち運びしないで、その場にあるピアノを演奏しなければなりません。状態のよいもの、あまりよくないものいろいろあるが、そのなかでどう自分の音楽を表現していくかが大切になっていくのだと思いました。「その場にある楽器の状態を最上のものにし、演奏者の音楽表現の手伝いをする」、ということが技術者の存在意義だと思います。それも経験のなせる技でしょう。

余談ですが、私は今平均律クラヴィア第1集の10番と24番を練習中です。24番のプレリュードは非常に美しいと思います。バッハにベヒシュタインは合うなあと思いながら今日も練習して帰ります。

オランダの人にしては小柄なブロンズ先生。「バッハの権威」というと、いかめしい人を想像するけれど、笑顔の優しい方でした。ショールームへのメッセージをお願いすると「状態のよいベヒシュタインを準備してくれてありがとう」とうれしいお言葉(クリックすると拡大します)。ぜひ、来年もいらしてください!