2008.04.13 ドイツで考えたこと「コンサートあれこれ」

最近ピアニストのアルフレート・ブレンデルが、今入っているスケジュールを終えた後、演奏活動をやめるという話を聞きました。個人的にとても好きなピアニストだったので残念でしたが、ブレンデルの年齢を考えるとやはり仕方のないことだとも思います。死ぬまで演奏活動を続けたい人もいれば、あまりひどい演奏をしたくないから早々と引退する人もいます。
ドイツに住んでいた時に、幸運にも二回、ブレンデルの演奏会に行くことができました。アンコールで聴いたバッハが忘れられないです。何度も何度もアンコールでステージに戻ってきてお辞儀をしていた姿が印象的でした。
コンサートは主にデュッセルドルフやケルンのホールで聴いたのですが、ドイツのコンサートチケットには非常に便利で驚いたことがあります。はじめのころはチケットに書かれている文面をじっくり読んだことはなかったのですが、実はチケットにはホールまでの行き帰りの交通費も含まれていることがあるのです。
私の住んでいた町(刃物で有名なゾーリンゲン)からケルンは電車で約30分かかるのですが、チケットがあればコンサート当日の17時以降、翌日の朝10時までは行き帰りの交通費が無料になります。税金やチケット代にその金額が含まれているのでしょうが、そんなにチケット代も高くないし、ゾーリンゲンからの往復代金(約10ユーロ)を考えるとやはりお得です。
コンサート前に一杯ひっかけるのもよし、コンサート後(22時過ぎですが)にレストランで食事をしてゆっくり深夜に帰宅するもよし、といろいろと考えられています。日本のコンサートは結構高くて、交通費が出るということもないので、この差は大きいと思います。
また演奏者が急にキャンセルをした時のお客さんの反応もだいぶ違うことを知りました。
エマニエル・アックスを聴きに行く予定で会社の同僚とチケットを買っていたのですが、コンサート前日に「体調不良のため違う演奏者でコンサートを行います」と文書が届きました。チケットは払い戻しにならないようなので、ちょっと不機嫌になりながらも演奏会に行きました。
その時の代役はアンティ・シーララという日本にも毎年来ているフィンランドの若手ピアニストでした。けっこう空席があるだろうと予想していましたが、意外にも席は埋まっていて反応も上々でした。こういうハプニングを受け入れる風潮が強い気がしました。そして好評だったためか翌年の定期演奏会予定にシーララがはいっていました。
とはいっても気に入らなかったらチケットを投げつけて帰る人もいます。
チック・コリアを聴きに行ったのに、出てきたのはセシル・テイラーというピアニスト。演奏が即興ばかりで、テクニックはすごいけど個人的には面白くなくて途中で出ました。あとでテイラーはベヒシュタインを愛用していると聞いて「はやまったかな?」と思いましたが。(その時はS社のピアノでしたが)
日本でコンサートはごくたまにしか行けないのですが、仕事を早く切り上げて駆けつけ、急いで帰宅することに文化の差を感じます。演奏後の余韻を楽しむゆとりがないのは残念なことです。
逆に、ヨーロッパのコンサートは演奏を聴きに行くのと同時に社交の場。演奏後のおつきあいではお互いに気を遣うこともあるわけです。
演奏をしっかり聴くことをメインで考えると日本のほうが気が楽であるともいえますが、このあたりが文化的、国民的な違いなのでしょうか。






